株式会社LINK-US

BLOGブログ

「難接合材料への挑戦」:厚み・多層の限界突破 ― 厚板をワンパスで接合、複数枚同時でもずれなし

「難接合材料への挑戦」:厚み・多層の限界突破 ― 厚板をワンパスで接合、複数枚同時でもずれなし

2025.10.15 電子部品 難しい接合 ワンパス接合 異材接合 EV リチウムイオン電池

自動車の車体構造や産業機械、電力機器などでは、厚板金属や多層材の接合が欠かせません。強度確保や大電流伝送のために、数mm単位の厚板を複数枚重ねて接合するケースは珍しくありません。しかし、この厚板接合は従来の技術にとって大きな壁でした。

レーザー溶接やアーク溶接では、厚板を確実に接合するために高出力の熱源が必要となり、その結果、熱歪み・残留応力・材料特性の劣化が避けられません。また、複数枚の厚板を同時に接合しようとすると、位置ずれや不均一な溶け込みが発生し、品質を安定させることが困難でした。

LINK-USの超音波複合振動接合(USCB)は、この「厚み・多層の限界」を突破し、低熱・低エネルギーで厚板をワンパス接合できる新基準を提示します。

厚板接合の従来課題

厚板や多層材を接合する際、製造現場では以下のような課題に直面してきました。

  • 高出力熱源の必要性:厚板を貫通させるために大きな熱が必要 → 歪み・残留応力の発生
  • 層間ずれ:複数枚を重ねると、熱による変形で位置ずれが生じやすい
  • 不均一な接合:上層は強固でも下層は未接合になるケースが多発
  • 時間とコストの増大:複数パスでの溶接や追加治具が必須

これにより、大型構造物や電力機器の製造において、厚板接合は歩留まり低下やコスト増を招いていました。

LINK-USの解決策:ワンパスでの多層同時接合

USCBは、超音波による複合振動を接合界面に与えることで、厚板同士を塑性流動させながら原子レベルで固相接合を実現します。材料を溶かさないため、熱歪みや残留応力を抑えつつ、高い強度を確保できます。

特筆すべきは、複数枚の厚板をワンパスで同時接合できる点です。LINK-USは独自の治具設計技術により、層間ずれを防ぎながら均一に力と振動を伝達し、複数層を一度に接合可能にしました。

これにより:

  • 低熱影響 → 機械特性を保持したまま接合
  • 複数層同時接合 → 工程短縮と歩留まり改善
  • 高強度接合 → 溶融を伴わず、疲労特性にも優れる
  • ずれ防止 → 高精度な治具設計により、寸法精度を確保

適用事例

1. 自動車シャーシ部材

複数の高強度鋼板を同時に接合。軽量化と高強度を両立し、EV車体設計に貢献。

2. 電力用バスバー

Cu厚板を複数枚同時接合。大電流対応かつ低抵抗化を実現。冷却効率も改善。

3. 産業機械部品

厚板金属の多層構造をワンパスで接合し、製造時間を大幅に短縮。耐久性とコスト削減を両立。

効果とメリット

  1. 工程短縮
     複数パスが不要になり、ワンパスで完了。生産ライン効率が向上。 
  2. 歩留まり改善
     層間ずれや未接合の発生を抑制。不良率を低減。 
  3. コスト削減
     工程短縮と不良削減により、量産コストを圧縮。 
  4. 高性能化
     残留応力が少なく、長期的な耐久性・疲労寿命が向上。

今後の展望

EVや再生可能エネルギー分野では、高電流・高強度を求められる厚板構造がますます増えます。たとえばEV充電ステーションのバスバー、再エネ設備の電力変換装置、鉄道や航空の構造材などです。

LINK-USの超音波複合振動接合は、「厚板・多層でもワンパスでずれなし」という新しい基準を提示し、製造現場に大きな革新をもたらします。

まとめ

厚板や多層材の接合は、従来の熱溶融技術にとって「限界」とされてきました。LINK-USの超音波複合振動接合は、低熱・低エネルギーで厚板をワンパス接合し、複数枚同時でもずれのない高品位な接合を可能にします。

→ 厚板・多層接合の効率化や信頼性向上をお考えの方は、ぜひLINK-USにご相談ください。

一覧へ戻る

超音波のスペシャリストが回答します!

接合や製品設計に課題はありませんか?超音波複合振動で解決しませんか。