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「EVバッテリー革命」:セル接合のコンタミ問題を解決 ― EV電池の歩留まり改善に寄与するLINK-US技術

「EVバッテリー革命」:セル接合のコンタミ問題を解決 ― EV電池の歩留まり改善に寄与するLINK-US技術

2025.9.10 LINK-US Lab

EV(電気自動車)の市場が急成長を遂げるなか、バッテリー製造の現場では「いかに高い歩留まりで高品質なセルを量産できるか」が大きな課題となっています。 中でも、円筒形セルの缶底接合は製造工程のボトルネックのひとつであり、スパッタ(溶接時に発生する金属の飛び散りや突起)による品質不良が業界共通の悩みでした。

Fig. 円筒缶リチウム電池の管底接合のイメージと適用実績

缶底接合の難しさと従来課題

円筒形セルの底部は、外装缶と内部の電極・端子部をつなぐ重要な接合部です。ここでは、電気的に安定した導通と機械的な強度が求められます。しかし、従来のレーザー溶接や抵抗溶接では以下の問題が発生しがちでした。

  • スパッタの発生:微細な金属片がセル内部に侵入し、短絡や発火の原因となる
  • 熱影響による材料劣化:ガスケットなど樹脂部品の熱劣化により信頼性の低下
  • 清掃・検査工程の増大:スパッタ除去や抜き取り検査のコスト上昇
  • 歩留まり低下:1つの不良セルがパック全体を不良品にしてしまう

結果として、バッテリー生産ラインでは高い不良率や工程コスト増が避けられず、量産効率を阻害していました。

LINK-USの解決策:超音波複合振動接合(USVB)

LINK-USが独自に開発した超音波複合振動接合(USVB)技術は、この缶底接合における課題を抜本的に解決します。 最大の特徴は、低エネルギー・低熱での固相接合です。材料を溶融させるのではなく、複合振動によって表面の酸化膜を破壊し、原子レベルで強固に結合します。

これにより:

  • スパッタの大幅低減 → 内部短絡リスクを解消
  • 低熱影響 → 材料の変形や熱劣化を低減
  • 安定した接合品質 → 生産ラインでの歩留まり改善
  • 異材対応 → Cu–Niクラッドタブのような難接合材にも対応可能

特に、従来技術では困難だったCu–Niクラッドタブの缶底接合も、LINK-USのUSVBなら実現可能です。

Fig. 実際の2170缶底接合の状況(Niメッキ鋼板+Cuタブ 接合時間0.05秒!

歩留まり改善とコスト削減への効果

缶底接合における不良率が下がることで、製造現場には大きなインパクトがもたらされます。

  • 歩留まり改善:不良セルの廃棄が減少し、全体の生産効率が向上。結果として1GWhあたりの製造コスト削減に直結します。
  • 工程削減:バリ除去や清掃工程が不要、検査負担も軽減。ラインスループットが上がり、生産スピードが向上。
  • 安全性の向上:内部短絡やガス発生のリスク低下により、セルの安全性が高まり、リコールリスクを減らせます。
  • 長寿命化:低抵抗かつ安定した接合により、繰り返し充放電でも劣化が少なく、電池寿命が延びます。

EV業界へのインパクト

急速に拡大するEV市場では、1セルあたりの不良率を1%削減するだけでも数百万ドル規模のコストインパクトを生み出す可能性があります。特に円筒形セルは、TeslaやBYDをはじめとする多くのメーカーが採用しており、量産性とコスト競争力が重要視されています。 LINK-USのUSVB技術は、こうした量産現場における「見えない損失」を減らし、安定した供給体制を構築するための強力な武器となります。

まとめ

缶底接合のバリ不良は、EVバッテリー製造における長年の課題でした。LINK-USの超音波複合振動接合は、低熱・低エネルギーで安定した接合を実現し、歩留まり改善・工程削減・安全性向上を同時に実現します。 今後、EV市場がさらなる拡大を迎える中で、この技術は高効率なバッテリー量産を可能にする新しいスタンダードとなっていくでしょう。

→ 詳細な検討やPoCのご相談は、ぜひLINK-USまでお問い合わせください。

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