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【LINK-US Lab】身近な日用品から航空機・宇宙船まで接合技術を徹底解説!

【LINK-US Lab】身近な日用品から航空機・宇宙船まで接合技術を徹底解説!

2024.11.12 LINK-US Lab
身近な日用品から航空機・宇宙船まで接合技術を徹底解説!

身近な日用品から航空機・宇宙船まで接合技術を徹底解説!

接合トップ

超音波接合分野に革新的な技術を提案しているLINK-USが考える接合の未来と関連技術について発信する「LINK-US Lab」をスタートします。

超音波を応用したあらゆる分野を網羅し、LINK-USの技術スタッフが詳しく解説します。

第一弾は当社が生業としてる接合技術について解説していきます。


皆さんは「接合」という言葉からどのようなプロセスをイメージしていますか?

・・・要は付けることですが、もう少し工学的に定義しますと、「接合とは、2つ以上の材料や部品を一体化する技術や方法のこと」となります。

2つ以上の物体を一体化する・・・といってもいろいろとありますね。

今回はそんな「接合」を分類してくわしく解説していくことにします。

当社の社名、LINK-USも人と人を結び付(LINK)けて新たな輪を生み出せれば・・・そのような希望が込められています。


1. 接合の意味

接合の工学的意味とは「個々の部品を全体の一部に変える」技術と定義できるでしょう。

つまり、接合は物体Aと物体Bを一体化することで機能を付加する重要なプロセスと言えます。

ですから、あらゆる工業製品に接合は不可欠と言えます。

接合とは一体化することで目的の機能を付加する技術ですから、求める機能の要件に応じていくつかの異なる方法があります。

さらに今日、単に部品を固定するだけでなく、接合部の耐久性や美観、環境への影響も考慮されるようになっています。

そのため、接合技術は常に進化し、多様化しています。

異なるいくつかの接合方法についてみていきましょう。

接合

2. 接合技術の種類

接合の分類は、接合現象や工法など、切り口によって様々な分類方法があります。

ここでは、接合現象(原理)に基づいて分類してみましょう。

製造現場における接合の種類

今回は、接合現象に着目して4つに分けて解説してみます。

実際には複数の現象が複合して成り立っているのが接合ですから、1つの見方とお考えください。

  • 機械的接合
  • 化学的接合
  • 物理的接合
  • 冶金的接合

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1. 機械的接合


a.ねじ接合

ねじやボルト、ナットを用いて部品を締結する方法です。締結力はねじ山の摩擦力によって発生し、部品同士をしっかり固定します。


メリット
・繰り返し分解や再組立が可能
・修理や交換が容易。
デメリット
・振動や衝撃によって緩む可能性がある。
・ロックワッシャーや接着剤で補強が必要な場合もある。

b.リベット接合

リベットという部品を用い、材料を圧着して固定する方法です。リベットの先端を工具でつぶし、材料同士を圧着します。


メリット
・強度が高い。
・長時間にわたり信頼性がたもたれる。
デメリット
・ 一度接合すると分解が難しい。
・修理時にはリベットを取り除く必要がある。

c.かしめ接合

かしめ工具を使用して、部品の一部を塑性変形させることで固定する方法です。たとえば、部品の端を広げることで接合を行います。


メリット
・高速で安定した接合が可能。
・大量生産に向いている。
デメリット
・部品が変形する。
・一度接合すると元に戻すことが難しい。

d.スナップフィット

部品を互いに嵌合させることで接合する方法です。プラスチック製品や家電のカバー部分によく使用されます。


メリット
・工具を使用しない。
・簡単に接合・分解が可能。
デメリット
・部品が変形する。
・繰り返しの使用で部品の摩耗や破損が生じる可能性がある。

e.クリンチング

金属板同士を押し付けて塑性変形させ、溶接や接着剤を使わずに接合する方法です。工具で局所的に圧力を加え、結合点を形成します。


メリット
・異種材料の接合が可能。
・熱による歪みが発生しない。
デメリット
・高度な加工精度が必要。
・専用の設備が必要。

■具体的適用事例と選択基準

・分解の頻度が高い場合は「ねじ接合」や「スナップフィット」が適しています。

・強度が求められる場合は「リベット接合」や「クリンチング」が好まれます。

・製造コストを抑えたい場合は「かしめ接合」や「スナップフィット」が有利です。


機械的接合は、用途や条件に応じて最適な方法を選択することで、効率的で信頼性の高い製品設計を実現できます。

2. 化学的接合

物質の化学的性質を利用して部品同士を結合する方法です。化学反応や分子間の力を活用するため、接合部の一体性が高く、特に高い気密性や耐久性が求められる場合に使用されます。以下に、代表的な化学的接合の種類とその特徴を解説します。


a.接着剤接合

接着剤を使用して、接合面同士を接着する方法です。接着剤が硬化することで、部品間に強固な結合を形成します。


メリット
・異なる材質(例: 金属とプラスチック)同士を接合可能。
・部品に大きな加工を加える必要がない。
・接合部が軽量であり、見た目もスムーズ。
デメリット
・硬化に時間がかかる場合がある。
・温度や湿度に影響を受けやすい接着剤もある。

■主な種類

エポキシ樹脂接着剤:高い耐熱性と接着力を持つ。金属やセラミックスの接合に使用される。

アクリル接着剤:短時間で硬化し、プラスチックや金属の接合に適する。


b.ろう付け

(ブラージング/ソルダリング)

溶融した金属(ろう)を接合部に流し込み、接合する方法です。基材自体を溶かすことなく、ろう材の化学的結合によって接合します。


メリット
・異種金属の接合が可能。
・基材を溶かさないため、熱影響が少ない。
・強度が高く、気密性を確保できる。
デメリット
・専用の設備や熟練した技術が必要。
・高温環境での作業が必要な場合が多い。

■主な種類

ソフトソルダリング:電子基板や配線に用いられる低温ろう付け。

ハードブレージング:配管や機械部品の接合に使用される高温ろう付け。


c.溶接

部品間の接合部を部分的に溶融させ、材料が冷却・凝固する際に化学結合を形成する方法です。


メリット
・高い強度と気密性が得られる。
・永久的な接合が可能。
・接合後の部品が一体化するため剛性が向上。
デメリット
・分解や修理が困難。
・熱影響による歪みや材質劣化のリスクがある。

■主な種類

アーク溶接:金属材料の接合に一般的。

レーザー溶接:高精度かつ高速な接合が可能。

スポット溶接:板金の接合に適する。


d.接着フィルムやテープの使用

接着剤をフィルムやテープ状に加工したものを用いる方法で、特に簡便性や精密性が求められる用途に適しています。


メリット
・均一な接合が可能。
・化時間が不要で、すぐに使用可能。
デメリット
・耐熱性や耐薬品性に限界がある場合がある。
・強度が限られる場合がある。

■利用シーンと選択基準

高強度かつ耐久性が求められる場合は「溶接」や「ろう付け」が適しています。

軽量化や異種材料の接合が必要な場合は「接着剤接合」や「接着テープ」が有効です。

精密性が求められる電子部品には「ソフトソルダリング」が多く使用されます。

化学的接合は、その特性を理解し、材料や用途に応じて適切な方法を選択することで、高い性能と信頼性を実現できます。

3. 物理的接合

材料同士を接合する際に化学的反応や冶金的な結合を利用せず、物理的な力や表面の特性を活用して接合を行う方法です。この方法では、部品間の圧力、摩擦力、吸着力、または形状による嵌合を利用します。以下に、物理的接合の代表的な方法とその特徴を解説します。


a.嵌合

(インターフェレンスフィット / プレスフィット)

嵌合は、部品の寸法精度を利用し、嵌め合わせることで接合する方法です。接合部にわずかな寸法差を持たせ、圧入することで固定します。

・特徴

原理:接合面の摩擦力と材料の弾性変形を利用。

用途:ベアリングの取り付け、シャフトとホイールの接合。


メリット
・高い強度と剛性を発揮する。
・接合後に分解・再組立が可能。
デメリット
・高精度の加工が必要。
・分解時に専用の工具が必要な場合がある。

b.摩擦接合

摩擦接合は、部品同士を強く押し付けた状態で相対的に動かすことで摩擦熱を発生させ、接合を行う方法です。

・特徴

原理:摩擦力を利用して接合部を密着させる。

用途:回転部品の軸継手やフランジ接合。


メリット
・工具なしで接合できる場合がある。
・振動や衝撃に強い。
デメリット
・摩擦が弱まると接合力が低下する。
・接合面に汚れや異物があると効果が減少する。

c.真空吸着

真空吸着は、空気圧差を利用して部品を固定する接合方法です。真空状態を作ることで接合面に吸着力を発生させます。

・特徴

原理:大気圧と真空の圧力差を利用する。

用途:ロボットアームのハンド部分やガラス板の保持。


メリット
・接合・分離が簡単。
・非破壊で繰り返し利用可能。
デメリット
・真空状態が維持されないと接合力が失われる。
・特定の表面形状にしか適用できない。

d.磁気接合

磁石の磁力を利用して接合する方法です。磁石を用いることで接合部を強く吸着させます。

・特徴

原理:磁石同士または磁石と金属部品間の磁力を利用する。

用途:工具保持、電子デバイスの固定、家電製品のカバー接合。


メリット
・非接触で簡単に接合・分離可能。
・特定の方向に力をかけることで容易に取り外せる。
デメリット
・高温環境や外部磁場の影響を受けやすい。
・磁力の強さが制約になる場合がある。

e.フック・スナップ接合

部品にフックや爪の形状を設け、それを互いに引っ掛けることで接合する方法です。主にプラスチック部品で利用されます。

・特徴

原理:部品同士の形状を利用して嵌め合わせる。

用途:家電製品や自動車部品の固定。


メリット
・工具が不要で組み立てが簡単。
・軽量かつコストが低い。
デメリット
・繰り返しの使用で摩耗する可能性がある。
・強度が限られる場合がある。

f.静電接合

静電接合は、静電気力を利用して部品を接合する方法です。特に軽量部品や薄いフィルムの接合に適しています。

・特徴

原理:帯電した物質同士の静電気引力を利用。

用途:電子機器、微細部品の一時固定。


メリット
・接合が一時的で、分離が容易。
・接合プロセスが簡便。
デメリット
・静電気の消失で接合力が失われる。
・湿度や帯電性に左右される。

■物理的接合のメリットと課題



メリット

・分解・再組立が比較的容易。

・材料の特性を活かし、接合部を傷めない。

・化学薬品や熱を使用せず環境にやさしい。

課題

・接合強度が化学的接合や冶金的接合に比べて低い場合がある。

・繰り返し使用による摩耗や緩みが発生する可能性。

・特定の条件下(振動や温度変化)で性能が低下する場合がある。


■選択のポイント

・簡便性や分解の頻度が重視される場合は「スナップ接合」や「真空吸着」。

・高強度が求められる場合は「嵌合」。

・精密部品や電子機器には「静電接合」や「磁気接合」。

物理的接合は、工具や特殊な設備を必要とせず簡単に行える場合が多く、製品設計や組み立て工程の効率化に貢献します。適切な方法を選ぶことで、コストと性能のバランスを取ることが可能です。

4. 冶金的接合


金属材料の接合方法の一つで、接合部において金属同士が原子レベルで結合する手法を指します。これは、冶金学の基礎である金属の物理的・化学的性質を活用した接合方法で、高い強度や耐久性が必要な場合に広く使用されます。以下に、冶金学的接合の代表的な方法を解説します。



a.溶接

(Welding)


溶接は、冶金学的接合の最も代表的な方法です。接合部を溶融させ、冷却することで金属原子が共有結合を形成します。


■特徴


原理:金属を局所的に溶かし、溶接棒や溶接ワイヤを加えることもある。

用途: 構造物(橋梁、建築物)、自動車、航空機など。


■主な種類


・アーク溶接:電気エネルギーで金属を溶融。普及率が高く、低コスト。

・レーザー溶接:高エネルギーレーザーで金属を溶融。高精度で薄い材料の接合に適する。

・摩擦攪拌溶接 (FSW):工具の摩擦熱を利用し、固体状態で接合。航空宇宙や鉄道分野で使用。



b.ろう付け

(Brazing)


ろう付けは、基材を溶かさずに接合する方法です。溶融したろう材(金属合金)が接合部を覆い、冷却して冶金的に結合します。


■特徴


温度:基材の融点よりも低い温度で加工。

用途:配管、熱交換器、電子部品など。

利点:基材の形状や特性を保持でき、異種金属の接合も可能。



c.拡散接合

(Diffusion Bonding)


拡散接合は、高温・高圧環境で金属表面同士を密着させ、原子の拡散を利用して結合を形成します。


■特徴


条件:接合面が非常に平滑である必要がある。

用途:航空宇宙産業や原子力分野の高性能部品。

利点:溶融を伴わないため、熱影響が少なく高精度。



d.焼結

(Sintering)


焼結は、金属粉末を高温で焼き固めて一体化する方法で、粉末冶金技術の一環です。


■特徴


条件:粉末の粒子間で拡散や結晶粒の再結合を起こす。

用途:工具部品、歯車、自動車エンジン部品など。

利点: 複雑な形状の部品や高硬度材料の作製が可能。



e.超音波接合

(Ultrasonic Welding/Bonding)


超音波接合は、高周波振動を加えることで、金属表面の酸化膜を破壊し、原子間結合を形成する方法です。


■特徴


条件:振動と圧力を同時に加える。

用途:電子機器や小型部品の接合。

利点:熱影響が少なく、異種材料の接合も可能。


■冶金学的接合のメリットと課題
メリット

・高い接合強度と耐久性。

・気密性や電気的伝導性の確保が可能。

・異種金属を接合できる技術も多い。

課題

・高温環境での作業が必要な場合が多い。

・専門的な技術や設備が必要。

・一度接合すると分解や修正が困難な場合がある。


■選択のポイント

・接合する材料の種類:同種金属か異種金属か

・使用環境:高温、高圧、腐食などの条件に耐える必要があるか。

・コストと効率性: 量産向けか単品製作か。

・精度要求: 精密な接合が必要な場合は拡散接合や超音波接合が適する。

冶金学的接合は、金属材料の特性を最大限に活用し、強度や性能が求められる製品に欠かせない技術です。ここには述べませんでしたが、金属粉体とレーザを用いて三次元造形する技術もあります。用途や条件に応じて適切な方法を選択することが重要ですが、これだけ多岐にわたる接合技術を使い分けるのは難しいでしょうね、ご不明な点やこれはどうなんだとろうという疑問があれば、いつでもご相談ください、お待ちしております。


今回は、接合の種類について広く見渡してみました。次回は超音波接合について、他の接合との違いなどを中心に深堀してみたいと思います。

LINK-US Labでは、今後も様々な接合技術について解説していきます、お楽しみに!


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